<記者>
    ものづくりのノウハウを、知的所有権や商品化で付加価値を生ませることが出来ないか?
    という試みが各地で起きています。
    ものづくりのメッカ、東京大田区でもこうした試みをするグループがあります。
    そのひとつ“お〜ing!ニッポン”において、2代目工業者たちがノウハウの商品化を
    目指したストーリーをご紹介いたします。
    大田区の特技の一つである「何でも削るノウハウ」を難削材向け切削油という商品に
    結びつけた青年工場経営者たちの感性を感じて頂ければと思います。
     前世代においてノウハウというのは、門外不出でなければなりませんでした。
    それによって商権を守っていたわけですが、金型ノウハウの海外流出に見られるように
    大手企業のものづくりモラルの低下は歯止めの掛けようもありません。
    ノウハウを商品化して、形を変えた付加価値収入を目指す。
    彼らは、これをきっかけに「下請け企業の所有するノウハウの付加価値化を!」と
    意気込んでいます。
    ものづくり二代目たちの意気込みを質問したら、以下の記事が返ってきました。
    ご紹介したいと思います。

大田区職人井戸端座談会
2003,07,01 A職人:最近、大田区の若いもんがオリジナルブレンドオイルとか言って     切削油を売りだしたって? B職人:そうなんだよ。      親父が家宝にしてきた調合を      大田ブランドで売り出すって      盛り上がっているんだよ。 C職人:「だまされたと思って、       使ってみてください。」      て、隣のボースが言うもんで      試したよ。      普通だったら油をつけると変色      する場面であの油、キリコの色が 変わらないんだよ! B職人:そらそうさ、何時も皆が使っている鉱物油は、      沸点がたかだか200数十℃だけど、      植物油ベースの琢磨はそれよりも100度以上も高いから      熱に強いのさ。 C職人:ほー道理で刃物がいたみにくい訳だ。 B職人:いやいや刃物が傷みにくい理由はそればかりじゃないんだよ。     あれにはもうひとつ大きな特徴があって、フッ素樹脂といって     物のすべりをよくする物質が配合されているんだ。 C職人:なるほど耐熱性の高い油に摩擦が起きにくく熱を伝えにくい     材料を配合してさらに完璧にしているのか・・。 B職人:おっCさん今日は冴えているねえ! C職人:いやーわしもこの道に入って40数年になるけど     あんなにすべるように切れるなんて感覚は初めてのもんだぁね。     あんまり具合がいいんで何かほかの事に使えないかと思ってね。 A職人:うーんそう言えばおれの若い頃なんてそれこそ朝から晩まで     一日中タップ立てばかりやらされてた時があったけどあの頃     そんな油があったらどんなにか楽だったか・・。 C職人:そうかタップたてねぇ・・、そうだちょっくら用事を思い出した     ちょっと出掛けてくらぁ。 A職人:おいおい油抱えていそいそとどこへ行くんだい? C職人:ちょっと野暮な使い道を思いついたんで・。 B職人:・・・・・・・・・・。 T職人:黙って聞いてりゃ、お前たち!     職人の世界じゃ、油売るってのは“怠けるってことだ”ぜ。     ちかごろの若いモンは「学」なんぞつけて、修行もろくにしないで     「楽な道具」を使いたがる。     昔は、親方の背中から、苦労しながら「巧み」を盗み取ったもんだ。 S職人:そうですよね! 青年は、「せっさたくま!切削琢磨!」ですよね! T職人:てめえ!字を知らねーな。おめーは、ちっとは勉強しろ! S職人:ひぇー!・・・・・・・・・・・・・・・ ! ! ! T職人:・・・・チェッと叱ると行っちまいやがった・・・・    どれどれ、これが切削琢磨か!?     便利な道具は、コッソリ使うもんだ!     なになに、0.5リットルボトルが¥5,000か、     舶来製のより安いじゃないか!     職人の気持ちを掴んでやがる。     一度使ってみるか! 生意気にも代理店も募集しているのか・・・。